-Photo by Life Of Pix from Pexels–
頃合いが丁度良くなってきたので、今回は”バンドブーム”の時代に出会った地元の先輩方バンドのお話をしようかと。
彼らが学生の頃は、世間一般からいわゆる”不良”と呼ばれていた方々なのですが、何を基準にして”不良”と呼ばれていたのかは私たちの年代には不明。
この先輩バンドと出会い、仲良くしてもらっていたのは彼らが就職をして社会人バンドを初めてからの事ですから。
先輩方と同じ年代に、お姉さんやお兄さんを持つ友人たちに彼らの名前を言えばすぐにピンとくるという具合に、地元では知名度をもった方々ではありました。
出会い
それは、夏の終りに高校生の私が街角で、一目惚れをした男の子との出会いが全ての始まり。
深い穴にストンと落ちてしまったように恋に落ちた数日後、学校で友人がライブのチケットを販売していて。
素人のライブなんて見たことないから見てみよう、という単なる興味本位でチケットを購入しましたら、そのライブに偶然か必然で、一目惚れをした彼のバンドが出演していたんですよね。
ライブ当日に声を私からかけ、すぐにお友達になりました。
私の恋バナが主役ではないので結末から言いますと、この男の子とはしばらくお友達で、告白したらスッパリと振られたのですが、それまでの間の「片思い」が初恋のようでもあり、妙な達成感が得られた私の人生の中であってよかったビター&スイートな期間。
このビター&スイートな期間、地元の友人達が出演するさまざまなライブに通っていたのですが、群を抜いてカッコよく目立っていたのが社会人バンドの先輩方でした。
彼らはオリジナル曲も持っていましたが主には、THE MODS、Boøwy、横道坊主、洋楽ではRamones、The Damned、Crashのコピーをしていたと思います。
”と思います”というのは、洋楽曲のみあまり記憶が定かでなく。
親友にも確認しましたが似たような反応。
とにかく、とても格好良くて演奏も上手で素敵な先輩方に魅せられ、恋に落ちた女の子は多かったと思います。
親友たちも、もちろん先輩方に夢中になりました。
私だけ別のバンド、別枠の男の子に既に恋に落ちていたため、憧れはあっても恋愛感情だけ湧き上がってきませんでしたけど。
ですから、セッションなどという大それた事が出来たのだと思いますが。
即席バンドを結成する
いろいろなライブを見に行くうちに、私たちも高校卒業に向け「卒業ライブ」というものに参加したくなり、即席でバンドを結成したのでした。
その時、女の子のギタリストがたまたま見つからず、ギターだけ腕の立つ男の子に入ってもらって。
私達は女子校出身者なのに、バンドブームが来てからというもの劇的に男友達が増えていきましたよね。
今思えば、なんだかそれが逆に健全だったようにも思える。
バンドを始めた事で、先輩バンドのメンバーたちとも距離感がグッと縮まり。
私たちが先輩バンドのライブを見る時は、最前列で若さを最大限に爆発させ、ノリノリで応援していたせいか、そのうち打ち上げにも呼ばれるようになりました。
九州内でライブがあれば一緒に出かけ、郊外のスタジオで収録があるといえばキャンプやアウトドアに行く気分でお供して。
私たちの初ステージも、野太い声で先輩方が声援をくれたから無茶苦茶心強かった。
ちなみに、私が好きだった男の子には絶対見に来ないでとお願いをしていました。
いくら肝の据わった私でも緊張してしまうから。
その子の顔が見えてステージに立ちすくんでしまったら駄目なので。
後に友人になった人々の話によれば、私たちは先輩バンドの”グルーピー”だと勘違いをされていたようです。
それほど一緒にくっついて回っていた時期があったという事でしょうね〜。
そして、セッションしよう!と言われた時は本当にうれしかった。
先輩方が、ガールズバンド(ギタリストは男の子でしたが)とセッションしたのは、後にも先にも私たちが最初で最後ではなかったかな。
ずっと自慢です。
私はそのセッションライブでまんまとやらかしましたが、ライブ後も一切責められることなくやさしくあたたかく接していただき。
ずっと自慢です。
「秋風が吹く」
数年前に里帰りしたとき、親友から先輩バンドのボーカリストが事故で亡くなったことを聞きました。
もう何年も先輩方とお会いしていないので、今でも全く実感がないのですが。
私たちはその後、人生の選択をしなくてはならない事態に遭遇し、それぞれの道を歩んでいったため、気づいたときには一緒に行動をする事がなくなっていました。
それは驚くほど自然に。
先輩ボーカリストは、人生を疾走した人だったのかなと思ったりもしますが、そのうちに私たちもこんなにおばちゃんになりましたよ♪、とか報告ができる日がくると思ったりもしていて、でもそれが叶う日はこないということ。
そんな先輩がよく歌っていた、パンク・ロックバンド「横道坊主」の”秋風が吹く”。
私たちの先輩の声は、横道坊主のボーカリスト中村義人さんの声にそっくりで。
目を閉じて聴いていると、あの頃の先輩が歌っているかのようなんですよね。
まさに、タイトルが「秋風が吹く」なので、今の季節には思い出し必ず聴く曲になっています。
神様って本当にたくさんの試練をくれますよね。
永遠に格好良く、そしてどうか安らかに。
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